エイドの富士宮中学校から、その次のエイド、本栖湖スポーツセンターまでの距離は30k。
その間は、UTMF、STYともに最大難所となる天子山山塊を通る。

だから、富士宮中学での掲示板情報で、コース最高峰の毛無山の山頂気温がマイナス4度とか
風が強いから低体温に注意せよ、とかおどろおどろしい情報がボードに書かれているのを見ると
戦々恐々としてくる。


スタート地点では荷物チェックと福田六花先生のメディカルチェックを受け
立花先生に「まずいと思ったら、ここまで戻ってこれる体力は残しておいてくださいね」
と言い聞かせられて「さ、いってらっしゃーい」と握手してもらった。


これから、魚雷に乗り込むんじゃなかろうか。特攻隊か?
でもうちら、特攻隊だよなあ。。。。
どんだけすごいんだ、STY。


スタート直後は、河原を通ったり、農道脇を通ったりとのんびりとした田園風景が続く。
17時近くになって、そろそろ日暮れ時という時間になって登り坂が始まった。

この登り坂というのが、た、たしかに半端ない急登なのだ。
周りを見ると、ストック使っている人がほとんど。
こっちは普段から使っていないし、レース1ヶ月前になって急に「必要なんじゃなかろうか」とあせったものの、やっぱり使いこなしていない今になったところで、余計な荷物になりそうだしなー、と荷物の軽さを選んでしまったので、
「私は今日、間違いなくこの世で一番の大馬鹿者じゃなかろうか」という気持ちになってくる。

ただ、、、、まあ、私のいるあたりのペースって押しも並べて「完走できればいいや」という人たちなので、思っていたよりもペースがゆっくりしている。
ストックがない自分でも十分ついて行ける。

そのうち、「ん?後ろ姿をみればジャニーズ系」な二人の若者につき、結局彼らについて(食らいついて?)登り続けた。

とはいっても、この二人とはピーク到着時に相手が休憩を取ったので顔も見ぬままに別れてしまったのでした。そして、また獲物を見つけて後ろをくっついていく、ストーカーキングうT。


コースのピークは毛無山という箇所なのですが、この「ピーク」という言葉に振り回されては決していけない。
登っても登っても、その次に急な崖のようなところを下り、そしてまた登る。
一番マイッタのが、急な下りで、渋滞の連続だったこと。
(急斜面と、ものすごい滑りやすい泥質の坂)

これはかなりテンション下がった。
なんぜ、登りで1キロあたり40分近くかかっているので、下りで取り戻そうと思ってたのに下りも1キロあたり40分かかるのだ。

誰だよー、1時間で3キロ進んで午前2時にエイド到着って考えたのは。(自分だよ)

気づけば立派な深夜。
厳しい登りの時に、ちょこっと道の片隅で横になりたくとも
止まると体温が下がるのが自覚できるので、10分休むのが限度。
でも、コース脇にはエマージェンシーシートをかぶって横になる人なんても出てきて、彼らを横目に敗走兵のように先に進む。

ピークも終わりの竜が岳の手前になってようやくトレランらしき走る体制がやっと出てきた、というところでそこを下たとことにある次のエイドの灯りが目に入ってきた。

午前2:30、本栖湖スポーツセンター到着。

到着するなり、トイレタイム!と、ここは靴を脱がなくちゃいけなかったり、出される食事をもらうのに行列したりと、躊躇するなあ、と思っていたら、
ダンナがエイドに到着した。
相手が休憩しているときに追い抜かしたようで。
道ばたにごろごろ転がっている人たちの中にいたのかあ。気づかなかったよ。

ここでは、鹿カレー、なにかのどんぶり、コーラなんてが出されましたが
水を取り過ぎたのか、そろそろ食欲がなくなってきた。
旦那と会話している内に自分の声が変になっていることに気づいた。
一晩じゅうゼーゼーハーハーとやっていたせいか、のどが痛い。

でも、これくらいでリタイヤするほどでもないので、
胃薬、エスタロンモカ(カフェイン錠剤の眠気冷まし。←仕事でお世話になってます)なんてを服用して、マッサージを受けるというダンナを後に本栖湖スタート(午前3:50)。
エイドで、トイレに行きたいがために靴脱いだり結構手間取ってたんですが、出発した道路沿いに、キャンプ場、公園、駐車場とトイレ設置場所が多い!わかってたらこっちを使用していたのに!

実は、この本栖湖、鳴沢氷穴間の14キロていうのが、レース最大の難所でした。自分には。

ずーっとロード。
オフロードは、その間にちょこっと登場した富士の樹海の中でここは気持ちよかったんですが。。。。
時計のGARMINは、電池切れ、メモリーオーバーで機能せず。
それは見越していたので、普通の時計を使用して、「そろそろ10キロ超えるかな」と思って樹海を出て、目の前に、地平線の果てまで続いていそうな国道を見た瞬間の、がっくり感といったら。
そして、エイドでとったもろもろでカフェイン過剰摂取だったらしく頭痛まで感じてきた。ううっ。

戦意喪失のまま、鳴沢氷穴到着午前7:10。
こ、こんなに果てしなく長い14キロって初めて。
はー、ここで最後のエイドかあ。
さすがに、ここでリタイヤとかは考えもせず、エナジードリンクのMAD CROCを飲んでいたら、見覚えのあるダンナのシルエットが見えてきた。

じゃ、一緒に行っちゃいますか。

ここから、二人でゴールに向けて出発。
さー、これで最後だ-!でも、もう走らない、ていうか、走れない。

樹海を歩いてから、河口湖へ抜ける峠のような山を登る。
ここで、このレースで初めてレース途中の富士山を目にした。
山の中にいたときは夜中で景色は堪能できなかったので、翌朝になってやっと目にした富士山の大きさを見て「はあ、これがSTYなんだなあ」としみじみと感じた。
この、最後の10キロというのも延々と登りが続き、下りも終わったと思ったらまた登りが登場して下りが出てきて、、、というヒジョーに憎たらしい道のり。
山道を下って、やっと道ばたに出たー!と思ったら、今度は湖畔の道のりを辿ってゴールまで5キロあるとか。完全にがっくり、であった。

はー、もうつかれもピークだ、と思いながらトボトボと歩いていると
写真撮影隊が突然目の前に現れたりするので、気が抜けない。
(しかし、あとでオールスポーツにUPされた中に「これは焚書!」と言いたくなるようなヒサンな顔をしている自分がいた)

というわけで、湖畔の道も、ゴールに行ける道の喜びがあるようなないような、と思っている内にゴールゲートが見えてきて、「ああ、もう終わっちゃうんだーなんだか残念」とかとんでもない考えも出てきたところに二人揃ってゴール。

23時間21分にて、82キロ完走。(完歩?)

ゴールで、知り合いの人から「よくやったねー!二人でゴールだよ!」と祝福を受けていると
なんと、レースディレクターの鏑木毅さんから握手してもらった。これはすごいうれしかった。

思えば昨年秋、ダンナから「今受け付けやっているんだけど、出ない?」とほぼ冗談で言われたのを「うん、出る」とはったりもいいところで申し込んでから、いろいろとあったけれど、未知の距離を完走できてしまった。
でも、いつもの自宅ー鎌倉コースがこの半年でバリエーションが増やせて、知らなかった道を知ったり、自宅から夜通し三浦海岸まで歩き通したり、身近なところで、一番身近な人といろいろとやったけど、その練習が完走に結びついたんだな-。本当によかった。

その後1週間、体が痛いわ、のどをやられちまうわで、まだまだ復活とはいかないのですが、早速山に行きたくてうずうずですよ。